10代、治らない歯痛の再根管治療、抜歯宣告?
根尖性歯周炎の原因は『細菌』です
歯内療法の目的は根尖性歯周炎(根の先にある病気)の予防と治療
初診時デンタル写真
症例:10代、女性
主訴:左上第二小臼歯の治らない痛み
他院の先生から根管治療で紹介され受診されました
約半年間、根管治療を繰り返したが、治療中も治療後も痛みが治らないとのこと
診断:Previously treated、Symptomatic apical periodontitis
治療:①マイクロエンド、治らない場合は②外科的歯内療法
通法通り、マイクロエンドから治療スターツ!
治療前(紹介された状態)
仮封はされているが、フェルールが一部崩壊、高さも不足している状態
(一般に仮封の厚みは4mm以上必要)
目視にて感染歯質の残存も疑われる
綿栓の繊維
マイクロスコープ下で除去していきました
よく綿栓を用いて薬剤貼布する先生が多いですが、
このように綿栓の繊維が根管内に残存します
この繊維が細菌の培養装置になったり、繊維の毛細管現象によって
口腔内の細菌を根管内に引き入れる要因になります
当院のマイクロエンドでは、綿栓を使用せず、根管内吸引を用います
どうしても使用する場合は滅菌ペーパーポイントを使用します
表面虫歯除去、破折診断、隔壁(CR)、ラバーダム
このような状態になって根管治療が開始できると言えましょう
マイクロスコープで根管内の前回治療の材料や感染歯質を除去し、
徹底的に洗浄します
洗浄・洗浄・洗浄!
洗浄大事なので、何度も言いました
根管充填(MTAセメント)
以前の治療での度重なるファイルによる根尖物理攻撃によって根尖は破壊されておりました(残念)
(根尖が破壊されると成功率↓)
ゴムの材料では根尖がピッタリと蓋できないので、
MTAセメントにて根管充填
根管系封鎖(レジン)
根管充填の即日に接着性レジンによって根管系を完全封鎖します
(細菌を極力入れたくないので)
根管治療半年後のデンタル写真(経過観察)
治療:90分×2回
治療中は全く痛くなかった ← よかった
この後、仮歯を装着して治療の経過観察を行いました
治療後1ヶ月のフォロー
「以前のような痛みはないが、噛むと少しは痛む」
このように、治療前に疼痛が長期間あったり、または強い疼痛がある場合、
治療が成功していたとしても、疼痛消失まで3ヶ月〜半年かかることがあります
(疼痛程度は徐々に減弱することが多い)
治療後6ヶ月のフォロー
「全く痛みはない」
ということで、無事に疼痛は消失したため、最終補綴とりなりました
根尖性歯周炎の原因は『細菌』です
つまり、細菌が減らないと治りません
当院で何か特別な治療を行なった訳ではありません
科学的エビデンス(根拠)に基づいた、世界標準的なルールを守った治療をしただけです
歯の中に一度細菌が入ってしまうとどんな名医でもゼロにすることはできません
なので、マイクロエンドと言えど、必ず治るといった万能なものでは決してありません
しかし、ルールを遵守して可能な限り細菌を減らせば、治る可能性はぐっと高まるのも事実です
根管治療の失敗は抜歯です(どこの歯医者行っても)
根管治療は歯を残す最後の砦なのです
当院では、歯を残すための努力を惜しみません!
共に頑張りましょう!
p.s.
当然、早い段階の方が治りやすいので、
初回治療かもしくは早い段階での治療をオススメします
良い治療には、時間、道具、技術が必要です
Tag: 治療