患者利益のための意思決定&歯内療法の原理原則
石井宏先生の講演のアウトラインをご紹介します
患者利益のための意思決定&歯内療法の原理原則
歯内療法の目的
「根尖性歯周炎の予防と治療」
(歯内療法学の教科書にも書いてある)
治療の意思決定のプロセスについて
歯科医師が受けた教育によってtreatment plan(治療計画)にバイアスがかかる
(バイアスがかかることを医療者は自己認識するべき)
ややもすれば、選択した治療方法が患者さんの不利益になっている可能性もある
人々の価値観が多様化している現在、
術者の考える最良・最善が患者さんのそれと一致しているとは限らない
われわれ医療者は、現在の医療で可能なことと、その限界について
患者さんの意思決定を助けるための情報提供が出来なければいけない
情報はできるだけ客観的にフラットに患者さんに伝える
あなたが、先生から言われた治療内容にはバイアスがかかっているかも知れません
というか、十中八九バイアスがかかっています
(治療するのが面倒な歯だから)「抜歯した方がいいですよ」的な
患者さんは治療を選ぶ権利があり、その結果を享受する義務がある
歯内療法の成功≠歯の保存
歯の保存の意思決定で大事な要件
- 残存歯質量(残っている健康な歯の量)←これが一番重要
- 歯周病の重症度←患者さんの努力でなんとかなる
- 根尖性歯周炎(根の病気)←コンセプトに則ればこれは90%以上は治る
歯が長期に渡って残るかどうかは、残存歯質量(残っている健康な歯の量)が一番重要
根の病気は治っても、破折してダメになるかもしれない
治療の予後判定
- 外科的介入が低い
- 外科的介入が高い
- 外科的介入によりマネージメント可能
- チャレンジング(診断的治療)
- 治療不可(垂直的破折、防湿不可)
4は患者さんが望めばダメモトで治療する
治療できないのは5だけ
歯内療法の成功率
治療 手術
100本→60本(成功)
↘︎40本(失敗)→36本(成功)
↘︎4本(失敗)
外科的歯内療法まで行えば、100本中96本の歯は治る
失敗はたったの4本!
(ただし、コンセプトに基づいた治療が必要)
当院では患者さんの意思決定をサポートするための情報を
できるだけ客観的にフラットにお伝えする努力をします
都合のいいことだけでなく、悪いことも真摯にお伝えします
初めて聞くようなこともあるかと思います
セカンドオピニオンも積極的に大歓迎です
そして、患者さん自身で意思決定をして欲しいと思います
それが、患者さんの利益に繋がると思うから…
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