私、失敗しないので

『ドクターX ~外科医・大門未知子~』の名文句です


どのような医療行為も100%はあり得ないので、
もし、現実でこんなこと言っている歯医者に遭遇したら
頭が大丈夫か疑ってしまいますが、
術者としてみたら、普段100%の成功を目指す心構えで治療に取り組んでいますので、
言ってみたい憧れのセリフでもあります


さて

根管治療で治る歯と治らない歯の違いは何なのでしょうか?

同じ患者さんの左右の奥歯のデンタル写真を示します

左右
左:下顎左側第一大臼歯、右:下顎右側第一大臼歯

両方ともレントゲンではきっちりとした根管充填が確認できます

治療としては

左は成功(痛みなし)、右は失敗(痛みあり)

この両者を分けたものは何でしょうか?

根管内の細菌の数(清掃状態や破折)


です

その歯の初めての根管治療では、ルールを守ると90%以上治療は成功します
(およそ95~97%程度)

再治療になると70~80%程度に低下

根尖部に異常があると50%程度にさらに低下

これは世界標準の根管治療のルールに則った場合に限ります

翻って、日本の根管治療の成功率を保険請求のデータから算出した論文では
日本式根管治療の成功率は50%以下…


成功率が高いはずの初めての根管治療が難治療に陥る原因には
主に2つのいずれか、または両方の要因があることが多いです

①マイクロリーケージ
歯冠側からの漏れのことですが、要は虫歯が取り残しがあったり、
口の中の細菌が歯の中に入りたい放題になっている
ラバーダムをしていない

②根尖破壊
必要以上に歯の中を削ったり、根の先端部を器具操作で破壊している


実は、この2つは治療によって生じた結果です
このように、治療によって病気の原因が作られることを

「医原性」


とわれわれは呼んでいます


病気を治療しに来たはずのに、治療によって病気になる
ってなんか落語みたいですね


治療したのに痛みが取れない
痛くなかったのに治療したら痛くなった
長い期間根管治療している

など

初めての治療なのにトラブった場合は、早めに専門医を頼った方が良いと思います

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