長時間作用性局所麻酔「ロピバカイン(アナペイン®)」

アナペイン

歯の神経(歯髄)には痛みを感じる神経しかありません
鋭い痛みを感じるAδ繊維鈍い痛みを感じるC繊維という2つの痛覚神経があります

Aδ繊維は歯髄の歯の表層近くに分布していて、知覚過敏や虫歯の初期でこれが反応します
C繊維は歯髄の中心に分布していて、深い虫歯などの炎症で歯髄が死んでいく時に反応します


このように、歯科の治療には痛みが密接に関係しており、
この痛みをコントロールするために”局所麻酔”は歯科治療と切っても切れない関係にあります


現在、日本の歯科で最も多用される局所麻酔薬はリドカイン(エピネフリン入り)というもので、
効果発現は5~15分、作用時間は1~2時間程度で、一般の歯科治療で使いやすい薬効を持っています

しかし、手術など治療と比べて侵襲が大きい場合、
長時間作用性局所麻酔を使用した方が、術後の疼痛が少ないという報告を散見しており、

手術やマイクロエンドの長時間の治療等では、
作用時間の長い局所麻酔薬を使用したいという思いが臨床実務家としてありました


実は、10年以上前に海外の学会で、歯科における局所麻酔薬や鎮痛薬のレクチャーを受け、
長時間作用性局所麻酔薬の存在は以前より知っていました

しかし、どれも日本未導入のものばかりだったので、残念な気持ちで帰国したことを覚えています


ロピバカイン(商品名:アナペイン)の日本における保険承認は
術後疼痛、硬膜外麻酔、伝達麻酔ですが、

<平成24年3月16日>
医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いで「浸潤麻酔」での使用を審査上認めるという通達がありました

社会保険診療報酬支払基金

これをふまえ、当院でもリドカインに加えロピバカイン(アナペイン®)を導入し、
両者を併用することでより高度なペインコントロールを行い、
より痛みの少ない手術や治療を提供しようと思います

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