根管治療における化学的洗浄

根管切片
実際の根管の形

歯内療法の目的

根尖性歯周炎の予防と治療

根尖性歯周炎の原因

細菌

神経の治療が成功するか失敗するかは、
細菌が減少できたか、できなかったかに尽きます
細菌減少のルールを守らない治療では、治らないどころか、
悪化させることすらあります
治療すれば治る訳ではなく、やりようでは抜歯を早めることになるということを
少しでも多くの患者さんに知って欲しいと思います

細菌を減らすには

細菌を減少するためのルールを遵守する

細菌減少の重要な3ステップ

  1. 機械的拡大
  2. 化学的洗浄(根管洗浄)
  3. 根管貼薬

汚れを物理的に除去(機械的拡大)して、洗浄剤で
歯の中をジャブジャブと洗います(化学的洗浄)
そして、治療と治療の間にさらなる細菌減少を狙って
歯の中に薬を入れます(根管貼薬)

この3つのステップによって細菌減少を試みます

化学的洗浄で用いる洗浄剤の4つの要件

  1. 抗菌効果
  2. 組織溶解作用
  3. 毒性が低い
  4. スメア層の除去

1つの洗浄剤で4つの要件を満たすものはないので、組み合わせて使います


保険治療では
次亜塩素酸+過酸化水素水

マイクロエンドでは
次亜塩素酸+ エチレンジアミン四酢酸(EDTA)+クロルヘキシジン(CHX)

ちなみに、保険治療で使う過酸化水素水ではスメア層は除去できない
ことが分かっています
そして、CHXは保険で認められていない薬剤になるので、保険治療では使用できません

最近、注目のクロルヘキシジン(CHX)

日本ではうがい薬としておなじみのクロルヘキシジンです
日本で使用できるものはうがい用として原液濃度で0.05%まで

根管治療で使用するものは2%と高濃度のものを使用します


QMix
QMix 2in1

17%EDTA+2%CHXの2in1な洗浄液も海外では販売されています
日本では個人輸入して使うしかありません
高額な薬品なので、デメリットはコストです


実際の臨床では、機械的拡大を行いながら化学的洗浄をするので、
機械化学的洗浄法と呼ばれます
この2つで、細菌の約60%は除去できました

61.9%→92.5%に減少させる最後の一押しが、

根管貼薬

なのです
(Shuping et al. 2000 JOE)


p.s.
根管治療は治療したから治る訳ではないことが理解できましたか?

Tag: 治療