下の一番奥歯の奥にできた深い虫歯の症例

初診時、パノラマX線写真

初診時のレントゲン


20代、男性
1ヶ月前から左下の奥歯が痛む


診断:Symptomatic irreversible pulpitis、Asymptomatic irreversible pulpitis
   下顎水平埋伏智歯

親知らずの存在による清掃不良からの虫歯
歯ぐきの深くまで虫歯は進行

親知らずは抜歯する必要があり、確実な虫歯治療は難しい
(見えないし、器具も届かない)

患者さんは自分の歯を極力残したい希望のため、治療開始



根管治療、1回目

親知らずの抜歯を先行
1回目の治療時には、虫歯は進行して根尖性歯周炎(緑丸)になってました(汗



マイクロエンド(近心)マイクロエンド(遠心)

通法に従って、マイクロスコープ下で根管治療、ルールを守った根管治療
虫歯除去、隔壁製作、マイクロエンド

遠心は扁平根管ですね
マイクロエンドなら無問題です



根管充填(CWCT)

根管充填(CWCT)


治療回数:根管治療90分×3回



根管充填、支台築造(レジン)

歯質が十分残っていたので、レジンにて支台築造



ジルコニア+ポーセレン

ジルコニアオールセラミックス装着

根の先端にあった病変は小さくなってほとんど消えかけています
難しい症例でしたが、なんとか歯を保存することができました


この症例から得られた知見

①奥歯の奥にある虫歯治療は難しい

奥歯の奥にある虫歯は直接見ることができず、ミラーを使って間接的に見るため、
肉眼では歯がに小さく、暗く見え、患部がはっきりしません

虫歯が見えたとしても、特殊な器具がないと虫歯を取り除くことができません

マイクロスコープはこのような部位にも有効です

②磨けないなら親知らずは抜いた方がいい

当たり前のことですが、そもそも虫歯にならなければ虫歯の治療は無用です
そのためには、バイオフィルムを除去する『予防』が重要です

親知らずの生え方に問題があり、歯ブラシ等の清掃器具の到達を妨げるようであれば、
虫歯のリスクが高くなるので、痛くなくても抜歯した方が良いと考えます

今回の症例のように、親知らずの前方が虫歯になってしまえば、
結果的に治療のために抜歯が必要となります

親知らずは生え方は患者さんごと状況が異なりますので、
対応については主治医の先生に相談してください

p.s.
無用な治療をなるべく回避することも歯を長持ちさせるポイントです

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