歯根端切除術(Apicoectomy)
歯の神経の治療(根の治療)を行っても、病気が治らないことがあります
科学的根拠に基づいた治療を行っても
初回治療(抜髄)では約10%が予後不良
再治療では約20〜30%が予後不良
治らなかった場合の次のステップに『外科的歯内療法』
所謂、歯根端切除術(Apicoectomy)があります
根管治療では除去しきれなかった歯の中の感染部分(主に根の先端)を
外科的に取り除いて、根管を逆側から医療材料で充填し塞ぐという手術です
この外科的歯内療法である歯根端切除術(Apicoectomy)は
肉眼で行う方法と、マイクロスコープで行う方法がありますが、
術式と成功率が全く異なります
マイクロスコープを使用した歯根端切除術の成功率は90%以上
という報告があります
マイクロスコープを使った歯根端切除術と肉眼での歯根端切除術の成功率の違い
(Setzer FC et al. 2010より)
マイクロスコープを使った歯根端切除術:94%
通常の歯根端切除術(肉眼):59%
初回治療の歯100本→成功:90本
↘︎失敗:10本→歯根端切除術成功:9本
↘︎歯根端切除術失敗:1本(抜歯)
再治療の歯100本→成功:70本
↘︎失敗:30本→歯根端切除術成功:27本
↘︎歯根端切除術失敗:3本(抜歯)
科学的根拠に基づいた治療および外科処置を組み合わせると、
かなりの確率で歯を残せることが可能になることがお分かり頂けると思います
(医学の限界を超えて治療はできないため、助からない歯もあります)
最近、他院で歯根端切除術を行い、
予後不良にて相談に来られる患者さんが増加傾向にあるように感じています
その中には歯根掻爬術のみや、根切除だけで逆根管充填がされていない症例も
数多く見受けられます
科学的根拠に基づかない歯根端切除術は再発の可能性が高いです
マイクロスコープにより、明るく高倍率な術野を確保でき、
細菌感染を見落とさずに除去、根の先端を確実に封鎖することができます
マイクロスコープ専用の外科器具や超音波チップ、術式のトレーニングが必要であり、
どこの歯科医院でも受けられる治療ではありませんが、
歯を残すためには、抜歯の前に検討する価値のある処置だと思います
歯根端切除術(Apicoectomy)が適応できな場合もありますので、
まずはご相談ください
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