リスクを取らないことがリスク
治療方針を決める患者さんとの話し合いで、
異様に治療リスクを気にする患者さんに遭遇したので、
その時に感じたことを少しお話したいと思います
医療に限ったことではありませんが、
私達は日々何事も『決断』しながら生きています
例えば、「何時に起きる」から始まり、「朝ごはんを食べるor食べない」、
食べるのであれば、「何を食べるか」、「どんな服を着るか」といった具合です
小さな決断から大きな決断を意識ないし無意識に行いながら生きています
どの決断にも利益(ベネフィット)と損失(リスク)があります
その患者さんは、『何かをするリスク』は異様に気にするのに、
『何もしないことによるリスク』については、想像すらしていない
そのような印象を受けました
おそらく、絶対に損をしたくないという強い思いがあるんだと思います
(世の中に絶対なんてないのに…)
虫歯や歯周病や根尖性歯周炎は自然治癒はないので、
治療しないリスク=悪化や治療の困難化
というリスクがあります
何もしなければリスクがゼロという訳ではありません
『何もしない』という決断にも利益とリスクが必ずあります
患者さんの立場に立ってみれば、何かをするという決断に対して、
リスクを取るのが怖いという気持ちはよく理解できます
誰しも、失敗したくはありませんから
重要なことなので、もう一度言います
何もしないという決断にもリスクはある
医療的に正当である範囲において、
適切なインフォームドコンセントが行われた後に、
最終的な意思決定が患者さんに委ねられているのは、
専門家が常に正しいという保証はなく、
決断に対しての責任は患者さんしか請け負えないからなのだと思っています
最終的に『価値観』や『納得』の問題だと思うのです
p.s.
専門家が「抜歯」と診断した時、
ほとんどの患者さんは『抜きたくない』と言います
もし、あなたがそう思ったなら、
でも、なぜ、専門家が「抜いたほうがいい」と考えたか
理由を聞いてみてください
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