根管治療における根管貼薬
複雑な根管系
歯内療法の目的
根尖性歯周炎の予防と治療
根尖性歯周炎の原因
細菌
神経の治療が成功するか失敗するかは、
細菌が減少できたか、できなかったかに尽きます
細菌減少のルールを守らない治療では、治らないどころか、
悪化させることすらあります
治療すれば治る訳ではなく、やりようでは抜歯を早めることになるということを
少しでも多くの患者さんに知って欲しいと思います
細菌を減らすには
細菌を減少するためのルールを遵守する
細菌減少の重要な3ステップ
- 機械的拡大
- 化学的洗浄(根管洗浄)
- 根管貼薬
汚れを物理的に除去(機械的拡大)して、洗浄剤で
歯の中をジャブジャブと洗います(化学的洗浄)
そして、治療と治療の間にさらなる細菌減少を狙って
歯の中に薬を入れます(根管貼薬)
この3つのステップによって細菌減少を試みます
根管貼薬とは
治療と治療の間、根管の中の細菌を減少するために用いる薬です
根管貼薬の薬剤の種類
- フェノール製剤
- ホルムアルデヒド製剤
- ヨウ素製剤
- 抗菌薬
- 水酸化カルシウム製剤
世界基準の歯内療法で用いられる根管貼薬の薬剤
『水酸化カルシウム』一択です
保険診療では、貼薬剤を使い分けることで
治療効果を期待したり無菌化を期待したりしていますが、
水酸化カルシウム以外は効果が限定的だったり、細胞毒性が高かったり、
発ガン性があったりとメリットよりデメリットが多く、
AAE(アメリカ歯内療法学会)では完全に否定され、
現在使用されておりません
水酸化カルシウムの殺菌メカニズム
強アルカリ(pH12.5-12.8)により細菌を破壊
水酸化カルシウムの殺菌効果
- 10分間では効果不十分
- 7日間の貼薬にて効果的に細菌を除去できた
- いくつかの細菌は水酸化カルシウムに対して非常に抵抗力が強い
Enterococcus Faecalis、Candida species - 直接触れている部分しか殺菌効果がない
保健適応の水酸化カルシウム製剤の問題点
マイクロエンドで用いる水酸化カルシウムは、
治療ごとに粉剤から調合して使用しています
保健適応のシリンジに入った調合済みの水酸化カルシウム製剤は
操作性や保存性は良いのですが、
- 水酸化カルシウムの濃度が低い
- シリコンオイルなどの添加物が多く入っており、根管内に残留する
など、水酸化カルシウムの殺菌効果も限定され、
根管内残留によりその後の治療に悪影響となる重大な欠点があります
保険で行われている根管治療は、「根管貼薬で細菌を減らそう」という
20年以上前のコンセプトから治療法が全く変わっていません
その結果、日本で一般的に行われている根管治療の成功率は改善することなく、
世界標準のそれよりずっと悪いまま現在に至ってます
自分に行われる治療がどんなものかを知り、厳しく吟味してください
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