石井歯内療法研修会第32回セミナー@御茶ノ水

中央大学 駿河台記念館

石井歯内療法研修会

3月3日(土)、4日(日)と2日間、東京・御茶ノ水で開催された

『石井歯内療法研修会』を受講してきました

『歯内療法』とは所謂、「根管治療」や「根の治療」のことです

歯内療法の成功率 世界 VS 日本


世界日本
初回治療(抜髄)90%以上50%程度
再治療(感染根管処置)60~70%不明・予後悪い
歯内療法外科90%
(モダンテクニック)
50%
(トラディショナルテクニック)

※歯内療法外科の成功率はモダンテクニックで90%、トラディショナルテクニックで50%
という意味で、日本においてもモダンテクニックを行えば90%以上の成功率です
(日本の口腔外科で行う殆どがトラディショナルテクニック)

歯内療法の目的

根尖性歯周炎の予防と治療

根尖性歯周炎の原因

細菌

目に見えない相手、バイオフィルムを形成したり、薬剤に抵抗したり、
なかなか減ってくれない手強い相手です…

細菌を減らして成功へと導くためには

基本コンセプト(ルール)の遵守
無菌的環境等の治療環境の整備が必須

自動車の運転には交通ルールがあります
交通ルールを守らなかったら、何が起きるでしょう?
運転の上手なF-1レーサーでも一般道路であれば
交通ルールは守らなければ事故にあうことでしょう

歯内療法にも明確なルールがあり、
それさえ守れば、誰でもデータで示した成功率が得られます

歯内療法以外の治療方法

抜歯

無菌的処置の実際

  • ラバーダム防湿
  • 仮封
  • 手用ファイル(ディスポーザブル)
  • 滅菌ペーパーポイント
  • 洗浄用シリンジ(ディスポーザブル)
  • バー(ディスポーザブル)

特に重要で絶対に外せないのが、「ラバーダム防湿」と「仮封」

患者さんの意思決定

歯内療法だけに限ったことではありませんが、
最終的にどの治療を選択するかは患者さんの『意思』によるものです

「ルールを守った、成功率の高い治療」
「ルールを守らない、成功率の低い治療」

自分ならどちらを受けたいですか?


今回のレクチャーで最も衝撃・感銘を受けた一文を最後に紹介します

2011年 日本歯内療法学会誌 
 
東京医科歯科大 須田先生
「我が国における歯内療法の現状と課題」

序文より抜粋

新しい機器・材料に精通することは、歯内療法を志す者にとって必要不可欠である
しかし、同時に歯科医師は、歯内療法の基盤となる事項を忘れてはならない、
ややもすれば、われわれは安易に万能薬やスーパーテクニックを求めがちであるが、
まず歯内療法の基本的事項を遵守すべきである
たとえば、無菌的処置原則を守らない根管拡大・形成は単に感染経路を拡大しているに過ぎない
と言っても過言ではない



須田先生はジェントルマンなので、マイルドに表現されていますが、
平易な表現に言い直すと

「ルールを守らない治療は病気を作ってるのと一緒だぜ」

と言うことです

所謂、マッチポンプというやつですね
自ら病気を作って、それを治す

患者さんに正直であること

当院のクレドの一つに『患者さんに正直であること』があります

事実の明示は、患者さんによっては「厳しい」と感じることもあるかと思いますが、
まず現状を正しく把握しなければ、適切な医療は望めないというのも事実です

正しく知る、情報を集める、それから判断されるのがよろしいかと思います
歯内療法の専門医の先生と連携していますので、紹介やセカンドオピニオンも可能です

歯内療法が大嫌いだった自分を大好きに変えてくれた
石井歯内療法研修会の先生方に本当に感謝です

自分にできることからやっていきます!
少しでも再治療や不容易な抜歯を無くし、不幸な患者さんを減らしたいと思います

6月にはハンズオンも受講します



p.s.
高校・大学の友人がセミナー講師を勤めていたり、セミナーに同級生がいたので、
久しぶりに会って少し会話することができました

セミナー後にとっても美味しい焼きとんを食べました

あみレバ鳥刺し