『患者に(歯の)治療技術はわからない』は本当か?
最近、ふとしたことで学生時代のバイト先の先生に言われたことを思い出しました
自身が20代、その先生は40代だったので、ちょうど今の自分くらいでしょうか
その先輩先生の持論は
- 患者さんには歯科の治療技術はわからない
- 真面目に治療しても適当にやっても患者さんにはわからない
- 真面目に治療すると「痛くなる」、適当で「痛くしない」のが良い
- 診療報酬が安いので、とにかく治療は『質』より『スピード』が重要
結論として
「(巧く手を抜いて)たくさん患者さんをこなす(回す)のがデキる歯科医師」
というご高説を頂きました
現在、その先生と同じくらいの年齢になったので、このことが本当なのか再考してみました
(歯の)治療技術はわかる人にはわかる
デンタルIQが高い人にはわかりますし、低い人にはわからないというだけです
わかる人はわかっています
※デンタルIQ=デンタル リテラシー、歯の知識、歯科的関心度
真面目に治療しているか適当に治療しているかはわかる
治療行為そのものの良否は患者さんには難しいでしょう
単発の治療単位では、ちゃんと治療をしても結果が出ないこともあります
ただ、回数を重ねた場合の勝率は全然違います
(将棋とか囲碁みたいなもので、素人はプロに勝てません)
勘のいい人は、その先生の醸し出すオーラ(雰囲気)や熱量
歯科医院の管理などからなんとなく分かってると思います
『疼痛コントロール』をすれば痛くない
ただ単に、疼痛コントロールをしていないか技術不足なだけです
疼痛コントロールをしっかりして治療すれば、ほとんどの場合、痛みません
ただし、保険治療内では難しいことは知っておくべきでしょう
適当にやったら、後から痛くなるか、痛くなくても抜歯が早まります
「痛み」で評判を落とすより抜歯を早める選択には悪意が潜んでいます
『歯医者は痛い』という患者さんの大半は、良質な治療の経験がないだけです
歯科医師は治してナンボでしょ!
保険診療に限って言えば、米国、欧州、アジアで比較しても異様に安いのは事実です
自費診療であれば、それほどの差はないと思います
雇われ院長は一般的に経営者から「売り上げ」を言われます
売り上げ=診療単価×患者数(歯科の経営セミナーでも出てくる数式)
保険診療では診療単価は固定なので、売り上げは患者数で決まります
売り上げが多い歯科医師が偉いというのであれば、当然スピードは大事な要素です
ただ…『治す』ための治療の『質』を高めるには十分な治療時間の確保が必要なので…
一人の診療時間を短くするということは…
(自主規制)
大学時代の同級生が集まれば「1日に○○人の患者をこなした」
とかがすごい歯科医師として武勇伝のごとく語られますし
同業者的に「どーなのよ」という歯科医院が評判良くて流行っていたりしますから
患者さん側にも歯科医師側にも先輩歯科医師のいうステレオタイプがあるのでしょう
自分の思うプロフェッショナルとは
的確な診査・診断と確かな治療技術
(デキる歯科医師)だと思っています
結論
【結論】『わかる人にはわかるが、わからない人にはわからない』
「患者」という一括りにはできないというごく当たり前の結論にたどり着きました(笑
わかってくれる患者さんに真摯に向かい合い、基本に愚直にコツコツ積み重ねていく
それを支えてくれるスタッフにも感謝です
p.s.
『医者は所詮、救える命しか救えない。
手の施しようもない患者を神のように救うことなんてできない。
救える命を確実に救う、そのために日々学んでる。それは俺も同じだ。』
(by Dr.藍沢 コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON)
『歯科医師は所詮、救える歯しか救えない。
手の施しようもない歯を神のように救うことなんてできない。
救える歯を確実に救う、そのために日々学んでる。それは俺も同じだ。』
(by 俺)
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