患者利益につながる選択肢
米国歯内療法専門医であり、歯内療法の臨床教育のパイオニアでもある
石井宏先生からの真摯な提言を紹介したいと思います
ほどんどの患者は、先進国であるわが国で根管治療を受ける際には
他の先進国で行われているのと同等の成功率が保証されていると思っている
もし自院で行っている根管治療と本書で示されている根管治療との間に違いがあるなら
今後の診療体制を以下の選択肢から選ぶ必要があるだろう
①患者に事実を話さずに今までどおりの治療をする
(成功率が低いと知りながら「基本コンセプト」を守らない根管治療をする)
②患者に事実を話して、できる範囲のことをする
(成功率が低いと知りながら「基本コンセプト」を守らない根管治療をする)
③医院の損失になっても「基本コンセプト」を守った根管治療を行う
④医院運営健全化のため、自費で「基本コンセプト」を守った根管治療を行う
⑤自院にて歯内療法を行わない
(専門医に患者を送る、抜歯を選択など)
ー 石井宏(2015-1016)『世界基準の臨床歯内療法』医歯薬出版 より ー
さて、本国の一般的な歯科医院での根管治療はどれに相当するでしょうか
ほとんどの歯科医院は①に相当するというのが実感です
理想は④ですが、これは日本においてはまだまだマイノリティーです
患者にとって③はラッキーな歯科医院ということになりますが、未だ存在を見たことがありません
(保険治療で石井先生のコンセプトを遵守した治療をしている歯科医師を知らない)
『根管治療』や『歯内療法』の重要性がまだまだ理解されていない
リテラシー後進国の日本で、どのようにするのがベターなのかは難しい問題です
現在当院では、②と④と⑤を患者さんに説明し
患者さん自身に歯の運命を決める選択と責任を担っていただくという方式を採用しています
あなたの受診している歯科医院の先生はどれを選択していますか?
どの歯科医院に受診して、どのような治療を受けるか
それによって歯の運命は大きく左右されるのです
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