歯の中のコレは何でしょうか?

歯の中をマイクロスコープで覗いた画像です
再治療



何かおかしなモノにお気づきでしょうか?



破折ファイル



銀色の物体があるのが分かりますか?
(ピンク色の丸)



この銀色の物体の正体は『ファイル』と呼ばれるもので、
根管治療(神経の治療)に用いられる細い針金状の治療器具です

細いがゆえに治療中に折れてしまい、歯の中に残ってしまうことがあります
(患者さんが思っているより、多く折れて残っている感じです)

当院でのマイクロエンド(精密根管治療)では、
新品を使用し、さらに単回使用(ディスポーザブル)とすることで、
破折するリスクを最小限にコントロールしています

たとえ新品を使用したとしても破折のリスクはゼロではありません


万が一折れてしまった場合は患者さんにその旨と対応を説明する方針ですが、
(自分なら教えて欲しいので)
経験上、知らされないことが多いように感じます


早合点しないで欲しいのは、

「歯の中に金属が残ってしまうこと」が問題ではありません


歯の中に金属があっても、細菌の数が十分に減少できていれば
問題にならないことも多々あります

この金属によって、歯の中が十分に清掃できず、

細菌が減少できない場合は問題が起こることが多く、対応が必要です
(無論、無いに越したことはありませんが)

外科的治療や最悪の場合は抜歯になることもあります

この患者さんの場合も、マイクロスコープで運良く摘出することができました
肉眼では、こうした微細な異物を除去することはほぼ不可能です


また、保険診療では、こうした器具は繰り返し使用されますので、
金属疲労によって破折することが多くなります

格安バスツアーではないですが、どんなことにも

「安さ」の裏にはそれなりのリスクがある


ということです

どのような治療を行うかの『意思決定』は患者さんです

決定する「自由」とその結果を受容する「責任」が患者さんにはあります

私たち医療者は、
患者さんに科学的根拠に基づいた診断を行い、
医学的・科学的根拠の情報を提供し、
コミュニケーションを取りながらそれをサポートする水先案内人なのです

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